虫に思う
秋の気配がちらほらと。
夜になって窓を開けると、コオロギやらマツムシやら、オケラやら正体の知れない虫達が大合唱していて、大変賑やかな我が家だ。
ベランダで時々ジジジジとのたうち回っているイカレタ蝉に猫達も釘付けだ。
二匹とも虫には目がない。人の目には確認しづらい蚊にも反応する。
あれは音で判るのだろうか。
そういえば印象に残るエピソードがある。
もう随分前の、若かりしあの頃という時代。
ある日、夜中にふと物音で目が覚めた。
それはもうごく微かな僅かな音で「カリカリカリカリ」と、俺の寝ている枕元で発しているようだった。気にしないつもりでいたが音は止まず、段々と気になってきて眠るどころではなくなってきた。
部屋の明かりをを点け、まさかと思いつつネズミを疑う。当時実家にはミースケと言うメスの茶虎猫がいたから、まずあり得ない。
隣の布団には何も知らない親父が、ゆで卵がそのまま入りそうなくらいポッカリと口を開けて寝息を立てている。俺の枕元には自分の机があったので、聞こえてくる音の方向を確認して抽き出しを片っ端から開けた。机の上からマグライトを取り出し、全ての抽き出しを抜いて埃の積もった中を見たが、発信源は掴めない。
ここではなさそうだ。
その音は連続していつつ、機械的振動ではない、何か生物的、有機的な音だった。
「一体何の音だ?」
らちがあかない。ふと思い立って視覚に頼らないように今度は電気を消す。聴覚を研ぎすまし、音の発信元を絞り込んでいった。どうやら机とその隣のアップライトピアノの隙間から聞こえてくるようだった。マグライトを握りその隙間に向けて光の焦点を絞る。
大きなゴキブリだった。あまり見たくないのだが口元が動いている。
そしてふと思い出した。
話はちょっと横道に逸れる。
丁度その頃、友人達と鍋パーティーをやるために、テーブル代わりとして木製パネルを提供した事があった。
会場は木造モルタルのいわゆる安アパートで、主は鍵をしない主義だったから野良猫が出入りし、いろんな猫が出入りするためマーキングの匂いで充満していた。4畳半の一間にベッドと机という狭さだ。
そこに、散乱した洋服やエロ本を掻き分け、コタツの脚にパネルを載せて、一升瓶や当時まだ高かった洋酒のボトルを持ったむさ苦しい男ばかり、5人だったか6人だったかが集まった。
前日その部屋の主が女と喧嘩し、いつも決まった時間にかかってくる女からの電話で仲直りを試みようという状況での鍋パーティーで、皆、事の成り行きを温かく見守ろうはずもなく、鍋を突つきながら、ニヤニヤと男がどう謝るのか楽しみにしていた。
どれくらい経っただろう、まさしく待望の電話が鳴ったのだが、その音は会話を止めさせ、口元で人差し指を立てないと気が付かないほど小さくこもっていて、一体電話機がどこで鳴っているのか判らないのだった。
元々文字通り畳が見えないほどの荒れ様で、鍋をやるために人が座るところ以外に服やガラクタを積み上げてしまったので、そんなに簡単に見付かる訳がない。
10コールぐらい鳴ってようやく電話機を発見したのだが、受話器に手が触れる寸前で鳴り止んだ。映画の1シーンようなタイミングだったので大爆笑に包まれた。
そのうち皆ひどく酔っぱらい、何でもありの鍋を展開し勢いで旨い旨いと食っていた。
翌日、貸したパネルは土鍋からこぼれた汁や酒でシミだらけであった。
と、脱線した話はここで再び軌道に乗るのだ。
ゴキブリはそのシミを齧っていた。
大体ゴキブリは本来朽ち木などを食べたりしていたのだろうから、あまり不思議ではない。
中学校の警備員をアルバイトでやっていた友人は、ゴキブリがトイレの石けんを食べているのを見て驚いたと言っていたから、何でも食うのは本当らしい。ゴキブリが物を食べる音をはっきりと聞いたことがある人間はそうそういないだろう。
出来れば聞きたくない音ではあるが…。
あまりいいオチではなかったので、寝る前に反省しよう…。
夜になって窓を開けると、コオロギやらマツムシやら、オケラやら正体の知れない虫達が大合唱していて、大変賑やかな我が家だ。
ベランダで時々ジジジジとのたうち回っているイカレタ蝉に猫達も釘付けだ。
二匹とも虫には目がない。人の目には確認しづらい蚊にも反応する。
あれは音で判るのだろうか。
そういえば印象に残るエピソードがある。
もう随分前の、若かりしあの頃という時代。
ある日、夜中にふと物音で目が覚めた。
それはもうごく微かな僅かな音で「カリカリカリカリ」と、俺の寝ている枕元で発しているようだった。気にしないつもりでいたが音は止まず、段々と気になってきて眠るどころではなくなってきた。
部屋の明かりをを点け、まさかと思いつつネズミを疑う。当時実家にはミースケと言うメスの茶虎猫がいたから、まずあり得ない。
隣の布団には何も知らない親父が、ゆで卵がそのまま入りそうなくらいポッカリと口を開けて寝息を立てている。俺の枕元には自分の机があったので、聞こえてくる音の方向を確認して抽き出しを片っ端から開けた。机の上からマグライトを取り出し、全ての抽き出しを抜いて埃の積もった中を見たが、発信源は掴めない。
ここではなさそうだ。
その音は連続していつつ、機械的振動ではない、何か生物的、有機的な音だった。
「一体何の音だ?」
らちがあかない。ふと思い立って視覚に頼らないように今度は電気を消す。聴覚を研ぎすまし、音の発信元を絞り込んでいった。どうやら机とその隣のアップライトピアノの隙間から聞こえてくるようだった。マグライトを握りその隙間に向けて光の焦点を絞る。
大きなゴキブリだった。あまり見たくないのだが口元が動いている。
そしてふと思い出した。
話はちょっと横道に逸れる。
丁度その頃、友人達と鍋パーティーをやるために、テーブル代わりとして木製パネルを提供した事があった。
会場は木造モルタルのいわゆる安アパートで、主は鍵をしない主義だったから野良猫が出入りし、いろんな猫が出入りするためマーキングの匂いで充満していた。4畳半の一間にベッドと机という狭さだ。
そこに、散乱した洋服やエロ本を掻き分け、コタツの脚にパネルを載せて、一升瓶や当時まだ高かった洋酒のボトルを持ったむさ苦しい男ばかり、5人だったか6人だったかが集まった。
前日その部屋の主が女と喧嘩し、いつも決まった時間にかかってくる女からの電話で仲直りを試みようという状況での鍋パーティーで、皆、事の成り行きを温かく見守ろうはずもなく、鍋を突つきながら、ニヤニヤと男がどう謝るのか楽しみにしていた。
どれくらい経っただろう、まさしく待望の電話が鳴ったのだが、その音は会話を止めさせ、口元で人差し指を立てないと気が付かないほど小さくこもっていて、一体電話機がどこで鳴っているのか判らないのだった。
元々文字通り畳が見えないほどの荒れ様で、鍋をやるために人が座るところ以外に服やガラクタを積み上げてしまったので、そんなに簡単に見付かる訳がない。
10コールぐらい鳴ってようやく電話機を発見したのだが、受話器に手が触れる寸前で鳴り止んだ。映画の1シーンようなタイミングだったので大爆笑に包まれた。
そのうち皆ひどく酔っぱらい、何でもありの鍋を展開し勢いで旨い旨いと食っていた。
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by angelwhisker
| 2005-09-02 20:15
| その他
ヨッスィーが凸凹猫コンビ、タビーとチャイの可笑しい生活を綴る。路地裏の猫達に幸せを届ける『マタタビ至福団』の本部。
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