さよなら、仮面ライダーカブト

今頃になってなのだが、終わってしまったシリーズ、仮面ライダーカブト

実は去年の秋頃から妻と共に何気なく見だした(詳しくはここのところ続く地震の話を参照)このドラマの面白さに、この冬は完全にやられてしまったのだった。


e0058443_0174771.jpg

写真は店舗改装している現場前の野良達。



長い話はここから。

テレビを貰いに、友人ゲルッチの姉夫婦宅に行った。

案内されて庭に回ると、憧れの21インチの平面ブラウン管ステレオテレビは縁側に鎮座していた。
掃き出し窓からゲルッチの姪っ子達と挨拶する。
奥の方で一番下の甥っ子が服を着せようとする母親からフルチンで逃げ回っていた。
俺はその何だか懐かしいような光景に笑いながらも、部屋の隅に無造作に転がっているライダーベルトを見逃さなかった。

「あっ、ライダーベルトだ!!」

そのベルトにカブトムシ型のゼクターと呼ばれるメカ昆虫を装着し、瞬時にライダーへ変身するのだ。

「え・・・? ああ、ベルトか。何?羨ましいの?」

ゲルッチに鼻で笑われ小馬鹿にされながらも

「うん・・・、ちょっとな」

と答える。

「ネエも大変だよ、あんなのも買わされたんだよ」

見上げれば究極のゼクター合体武器、パーフェクトゼクター(剣)も壁に飾っているではないか!!

「凄いなぁ・・・」

う〜ん、・・・かなり羨ましい。

聞けばゲル姉の家では、子供にせがまれて毎週録画してDVDに焼いているとの事だ。
俺はその頃毎週見ていたが、途中からだ。
話は佳境に差し掛かっている。
シリーズ前半を見ていない俺は登場人物の設定やそれまでの話の展開が話が全く分からないので、恥ずかし気も無く第一話から借りる事にした。

第一話を見た妻の、第一声は

「主人公の子、最初はこんなに格好良かったんだね」

「ホントだ・・・。やつれてないよ・・・。映画も同時進行で撮影してたから滅茶苦茶ハードスケジュールで、どんどん疲れていったんだね。ほら、まだ目の下の隈が殆ど無いもの」

夫婦揃って最初から見直すと、フムフム、あれはこういう前フリがあったのか、うわぁ、そんなに悲しい事実があったのね、と話の展開にどんどん夢中になっていった。
とにかく話が複雑に絡み合って良く練られている。
他のシリーズを見ていないので何とも言えないのだが、登場人物達が葛藤するシーンが多く、心の動きを良く表現していた。
意見の違いでライダー同士で戦ったり、トップだったライダーが落ちこぼれて闇の世界を目指したり、はたまたワームと呼ばれる敵の中にも優しさを持つ者がいたり、世の中単純に善悪で割り切れないという事がよく伝わってくる。これは子供達にも何となく解るだろう。複数いる監督によって回ごとに趣向も違うのだが、笑いあり涙あり、楽しめた。

複雑過ぎる人間関係は、子供は理解出来ないだろう。
まぁ、子供はライダーが悪者を倒せばそれで良いのだが。

そうこうしているうちに主題歌まで憶えてしまう程入れ込んでしまった我々夫婦二人。
全四十九話あるのだが、毎日少しずつ鑑賞。
しかし次の展開を期待させる上手い終わり方に乗せられて、長い時は八話分(四時間)ぶっ通しでDVDを見たりもした。

「う〜ん、深い。・・・面白いねぇ」

「うん、俺なんか・・・もう何だか変身しちゃいそうだよ」




風呂に浸かっては主題歌を口ずさみ、現場に遅刻しそうな時には「クロックアップ(加速装置みたいな物)!」と呟く。

デスクトップはもちろん仮面ライダーカブト壁紙だ。
e0058443_2354437.jpg



こうなるとベルトさえあれば、変身出来そうな気がしてきた。

「ヘンシン!、キャストオフ!」



話のネタに買ってもいいかもしれないという言い訳をしつつ・・・

amazonでライダーベルトの値段をチェックする。

が、大人の腰には巻けない事実に愕然。

仕方なく諦めたり、土曜日に仕事を休んで主人公の俳優水嶋ヒロ君の握手会に行こうか悩んだりもした。

「ケッ、お子様ヒーローもんじゃねぇか」と、馬鹿にするなかれ。
そこいらの全く以て下らないテレビ業界ドラマや、想像力を必要としないお笑い番組よりも余程健全で為になる(不健全な仮面ライダーも見てみたい気もするが・・・)。

しかし、仮面ライダーカブト、よくよく冷静に見てみると至る所にアラがあって、それもまた面白かった。

『ろくすっぽ活躍する間もなく次々登場する新兵器』や、話の筋からして『ほとんど必要なさそうな毎回の戦闘シーン』は、ライダーグッズの販売戦略として致し方ない事なのだろう。

隕石が落ちたとされる渋谷からほんの少し行っただけで大海を望む渚があったり、東京湾奥の倉庫街で戦っていた筈なのに、いきなり狭山丘陵辺りの雑木林に瞬間移動していた。
制作費の問題だろうが、最初は何台も出て来た仮面ライダーシステムを統括する組織ゼクトの公用車『高級外国車ハマー』や、見栄えのする凝ったCGは視聴者の心をつかんだひと月で出て来なくなり、と突っ込みどころ満載なのだが、それを加味したとしても大人が見て充分楽しめる内容だった。

最終回はもちろんハッピーエンドだったが、それに伴って得体の知れない虚無感が俺の心に・・・。

次のシリーズは電車をテーマーにした仮面ライダーらしいが、ちょっとマニアックで主人公は気弱なだけで影が無く、魅力も無い。






嗚呼、俺のライダーは終わってしまったのだ。



しかし、大丈夫だ。
そう、カブトは俺の心の中にいつもいる。




毎日がまた淡々と過ぎてゆく。

「帰りは何時頃?」

仕事が終わる夕方、いつものように妻からのメール。

「これから着替えて帰ります。買い物ある?」

メールを打ち終わると、ちょっと眩しそうな顔をしてPHSを太陽にかざすように持ちながらボタンを押し、俺は力強くこう呟くのだ。



「ヘンシン!」



よろしければお願いします。
1日1クリック有効です。
  ↓
人気ブログランキングへ
[PR]
by angelwhisker | 2007-03-01 00:19 | その他

ヨッスィーが凸凹猫コンビ、タビーとチャイの可笑しい生活を綴る。路地裏の猫達に幸せを届ける『マタタビ至福団』の本部。


by angelwhisker

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
我が家の猫
マタタビ至福団
他の猫
料理と美味
外出
熊五郎
道具
栽培
行事
インテリア
年賀ネタ
安倍川茶伊太郎先生

息子
健康
告知
その他

タグ

(277)
(91)
(47)
(44)
(39)
(33)
(28)
(25)
(25)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(16)
(16)
(15)
(15)
(12)

ブログパーツ

最新のトラックバック

欲求不満
from 難攻不落の熊本城
体にフィットするソファ
from Stlpd28の音楽生活
ボロタワー
from にゃんちんと一緒
療法食開始
from ねこぱんち
寝違えないタヌキ
from ねこぱんち

検索

以前の記事

2017年 05月
2013年 01月
2012年 01月
2011年 10月
2011年 09月
more...

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧