伊太利亜八日間の記録2〜ミラノ到着

ミラノへ向かう旅客機では飛行時間のおよそ三分の一くらいは寝ていただろうか。

前日も前々日も準備であまり寝ていなかったにもかかわらず、

二人とも興奮していて寝付けなかった。

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まるで遠足前の子供のようだ。

サハリン上空を過ぎたあたりで時折妻に眼をやると、寝ていたり起きていたりしている。
隣の俺もまた同じように寝たり覚めたりを繰り返していた。

二人共に空港で買った三冊の本には全く手を付けていない。

そのうち小さな液晶画面で展開してゆく映画を見付けると、小さいなぁと溜め息をつきながらも結局そのままだらだらと観続けてしまった。



こんなに映画をハシゴしたことはない。

『ナルニア国物語』
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
『PROMISE』
と三本ぶっ続けで観た。
当然ながら疲れ果てた。

『ナルニア・・・』は子供にも大人にも楽しめるエンターテインメントだったのだろう。
だろうというのは、座席の前に固定されている小さな画面で観る作品は、ちまちまして見えてしまったからだ。
前向きに捉えれば、絵本並みのスケール感での展開である。
そういう意味では実感があった。
『ウォーク・ザ・・・・』はカントリー歌手ジョニーキャッシュの半生を描いた作品で、最初あまり興味は無かったのだが、後の伴侶がカーターファミリーのジューン・カーターである事を知り、身を乗り出して観てしまう。
個人的には観て良かった映画だ。
『PROMISE』は絵はいいのだが、安易に使われるCGに違和感があって興醒めした。

俺がジョニーキャッシュに入れ込んでいる間に寝ていた妻が、

眠りから覚めて『ウォーク・ザ・ライン』を観始めた。


横から解説を入れたいところをぐっと我慢する。

ヘッドホンを外させなければいけないし、嫌がられるのがオチだ。
映画の感想を書いている場合か!
イタリアはどうした、と言われそうなので少し展開する事にする。


しかし、既に気付いている人も多いと思うが、

『回りくどい、このスタイル』は文だけではなくて会話もそうだ。



そう、俺の生き方そのものなのだ。


妻には随分前に諦めてもらった。
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なかなかイタリアに至らず欲求不満。

半ば諦めに近い心境。

読者が今体験しているこの心境は、

この時の俺の気持ちそのものでもあるのだ。


そうこうしているうちに、機は高度を徐々に落としていった。
耳が再び痛み始めたのである。
頭も徐々に重くなっていった。
慌てて耳栓を付ける。
右耳は緩いままなので、右手での補助が必要だ。
・・・そうだ!
名案が浮かんだ。
今度は気圧が高くなる訳だから、潜水の時と同じように耳抜きをすればいいのだ。
機内にアナウンスが流れ、着陸態勢を取るという。
確かにどんどんと高度を落としている。
ああ、どんどん右耳が痛くなってゆく。
焦りが判断を揺るがし始めた。
いや待てよ。
飛行機が降りるという事は気圧が高くなるのか?!
ここは地上だ。
水中とは訳が違う。
不安で高度と気圧の関係が判らなくなってゆく。
俺は鼻を摘みながら、耳抜きをすべきかその逆をやるべきか、或いはあくびがいいのか迷った。
時間がない。
結局、鼻を摘みつつ全部やった。
駄目だ。
頭痛は治りそうにない。
無駄な抵抗を諦めて、機に続き俺も着陸態勢を取る事にした。
ふわりふわりと何度か機体が大きく揺れた。
着陸したようだ。
車輪の振動が凄い。
大きく開いた左の掌から汗がぽたりと落ちた。


念願のミラノ到着。

空港を出てバスに乗り込む頃には夕方になっていた。
同じツアー客達とここで初めてちゃんと対面する。
盛りだくさんの内容でハードスケジュールの安いツアーなので、若い人が多いと聞いていたのに、年齢層は一通りばらけている感じだ。
小中学生を含む親子連れに、ハネムーンだろうか仲良く腕を組んでいる若いペアもいれば、熟年夫婦もいた。
我々夫婦は中間に当たりそうだ。
そうでなかったとしても、そういう事にしておこう。
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それよりも右耳がおかしい。
あくびを数回わざとやってみたが、顎を動かす度に右耳だけパカパカと音がする。
今だったら、タバコの煙を右耳からなら出せるのにな。
そんな気がした。

空港の建物を出てバスに乗り込む。
我々夫婦は前から2列目を陣取った。
添乗員のイタリア国内でのマナーやツアーでの注意点などを聞きながら、外の風景に眼をやる。
郊外らしく特別見るところも無く、辺りも次第に暗くなり始めた。
ホテルの入り口のずっと手前、あれは別のホテルの入り口なのだろう、警備員が詰め所の前に立っていた。
その後ろを猫が足早に横切り、詰め所に入って行くのを見掛ける。
明日の朝、猫に会いに行くような時間はあるだろうか。

ミネラルウォーターはホテルのバール(BAR)で買えると言うので、部屋に荷物を置いてから降りていく。
バールは男が一人で切り盛りしていた。
もちろんイタリア人である。
居合わせた添乗員が、注文を切り出せないでいる我々の代わりにミネラルウォーターをオーダーしてくれた。
英語だった。
エスプレッソマシンがカウンター越しに見えたので、ついでにケーキを指差した後に本場のカプチーノも注文。

「トゥーカプチーノ」

英数字しか出て来ない。
しかし、向こうは観光客相手のプロだ。
眼と手で通じ合う。

自慢じゃないが、イタリア語の数は1のウノ、4のクアトロ以外は知らないのだ。

昔狂ったようにやったカードゲームのUNOに、宅配ピザの四種盛りQUATTRO。
これじゃ店では水も買えない。
結局、勘定もユーロが良く解っていないので掌から取ってもらった。

しかし、初日としてはこれが言えれば上出来だ。

「グラツィエ(ありがとう)」

テーブルに座り繊細さの無い『正直者の印象』がする甘いケーキを口にしながら、初めて飲む本場のカプチーノ。
エスプレッソとはよく言ったものだ。
手際良く仕込み、あっという間に出て来た。
家にあるエスプレッソマシンは、気圧が低いので抽出するのに時間が掛かるのだ。
同じカップの量なら、どう考えてもペーパードリップの方が早い。

イタリアではうちのはさしずめアッチェレラート(鈍行)マシン。

当然、味も我が家でいれるものとはまるで違う。
意外にも苦みが少なく、角の取れた丸い味がするのだ。
本物はこうだったか!
泥のように疲れているから、こんな時間に飲んでも良く眠れそうだ。
この日から我々夫婦は一体何杯のカプチーノを飲むだろうか。

明日は七時にモーニングコールが入るらしい。
もう寝なければいけない。

広々としたホテルの部屋でトランクを床に広げ、明日の準備をする。
明日から何が始まるのだろうか。
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続く

横道に逸れてばかりのなかなか進まないこんな文章なので、ようやく旅行の一日目が終わるという事実にホッとしつつも、まだまだ先が長い事に憂鬱になったりする今日この頃。
写真も変なものばかり撮っていて、あまり理解されないであろう事も覚悟しておこう。
文章ばかりで寂しいので、街角の気に入ったものを乗せておく。

「やたら長いくせに、まだ飛行機降りただけじゃん」
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by angelwhisker | 2006-04-26 00:59 | 外出

ヨッスィーが凸凹猫コンビ、タビーとチャイの可笑しい生活を綴る。路地裏の猫達に幸せを届ける『マタタビ至福団』の本部。


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